やっと満月が山から顔を出した…。
橙の大円が川流れに反射して小刻みに振動している。
一瞬の出来事。
ざざざざざ・・・
聴きなれない水音に驚き立ち上がる。
そこには無数の鮎たちが身を寄せ合っていた。
何ものかに追われていたらしい。
月の橙が淡むにつれ、鮎の姿は薄れていく。
淡々と流れる水音に対し、刻一刻と変化する生きものたちの動態。
暗闇の中にある鮮やかな空間。
カジカガエル。
チドリ。
フクロウにアオバズク、ミゾゴイ…
5月の夜はとびきりにぎやかだ。

鮎眠る水際に、一羽佇むフクロウ。
狙いは鮎でなく、カジカガエルのようだ。
夜の川はいい。
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