AYU

台風19号が那珂川水系に運んできた「ふっかふかなお布団」~アユとシロザケの産卵床~

時季外れに咲くハナカイドウ。

秋深まる中、台風19号が過ぎ去った那珂川水系には、濁流にもみ勝ったアユの姿がありました。そして、シロザケは台風後の幾度かの出水で遡上が本格化。アユ、シロザケともに本格的な産卵時期になりました。

岩盤にしがみつくように生える木々、決して崩れない。紅葉がすすむ。
ミサゴが首を左右にスライドさせながらアユなのかシロザケなのかを狙う。英語でOspreyというらしい。

那珂川水系の河床はふっかふかなお布団のように柔らかくなり、アユやシロザケの産卵場として好条件となっています。

瀬肩には柔らかな礫帯が出現。アユとシロザケの産卵場に。

あちこちでシロザケが産卵床を掘っています。強いオスがメスを独占しようと周りのオスを追い払います。

産卵床を掘るシロザケのメス。
オスは常にメスに寄り添い、産卵のチャンスをうかがう。

アユはシロザケの産卵場を利用する?

シロザケの産卵場と同所的にアユの産卵場がありました。シロザケが産卵のために河床を掘ると、そこへアユもやってきて産卵するのでしょうか。河床は当然きれいでしょうけれど、卵が元気でいられるよう、より一層泥がなく、ふかふかで、礫が浮いて水通しのよい場所を選んでいるとすれば、シロザケが掘った場所はアユの産卵に適しているのかもしれません。特に目立った増水もなく、河床が堅いような年では、アユの産卵にとってシロザケは欠かせない存在と言えるのではないでしょうか。

それに、シロザケの産卵床のまわりにアユが産卵すれば、アユの卵を食べる魚もなかなか近寄れないでしょう。映像にもありますが、シロザケは産卵床のまわりを広くテリトリーとし、周回しています。一度アユが卵を産みつけられればシロザケに守ってもらえるという訳です。もちろん、アユ自身も仲間が産んだ卵を食べる天敵になりますが、卵の捕食リスクをぐっと下げられるはずです。

アユのサイズ

アユの大きさも以前に比べて、だいぶ小さくなりました。9月上旬には大型はバンバン降っていましたから、この時期ともなれば、だいぶサイズダウンしたと思います。やはり、早く生まれたアユは早く川へ遡上し、大きくなり、早く下流へと産卵に降っていく。一方で、遅く生まれたアユは遅く川へ遡上してきて、そのためあまり大きくはなれないまま、遅い時期に川の下流へと産卵に向かう。一般的にはそうだと思います。でも、ここ支流の場合は、遅く生まれたであろう小さなアユは、下流へは向かわずに、今いる場所で産卵を済ませることで、独自の生き残り(支流小アユの存続)に賭けているとしたら・・・。ここから仔魚が河口へ流れ降るなら、本流の産卵群とは流れ降る筋や到達時間も違うはずで、そのことがここのアユ達にプラスに働く場合だってきっとある。そもそも本流で産卵に加わってもまわりのアユに揉まれて自身の種を残せない可能性は高いです。ならばライバルの少ない支流で自分にあった相手と、のびのび産卵できたほうが現実的です。

小さなアユが目立つ。

さて、アユの産卵の様子を撮ろうと思いました・・・が、しかし濁りでよく見えない。

一応、アユは映っていました。ふらふら~と泳いでいます。ほとんど見えません。

シロザケが河床を掘る音が聞こえる。鳥の鳴き声も水の中で聴こえる。

無音ですが画質劣化を抑えたバージョン。

少しは画質がよくなり、アユが映っている。アユはかなり底を意識している。

陸上からの産卵の様子です。画像は粗いです。開始5秒後に産卵している様子がありますが、あとはただの群れアユの動画です。

アユは石の隙間に体を海老反りにして産卵する。

アユの卵を目でみてみよう

ふっかふかのお布団。ここを少しだけ手にとると・・・・

ありました。卵。半透明でやや黄色い。1mmぐらいでしょうか。石にしっかりとくっついています。

アユの卵

一粒だけ持ち帰り、学研の顕微鏡で観察してみます。

吸盤のようなもので卵は石にくっつく。
発生がすすんでいるように見える。
月のよう。

良く見えてます。アユの受精卵です。受精間もない段階でしょうか。卵にくっついているのは、石などにくっつくための吸盤みたいなものです。

この子があと2週間もすれば卵から孵化して、わずか5~6mmの大きさで海へと流れていくのです。汽水域を越えて海へはあっというまにつくでしょう。そして、来年の春には50mmほどの大きさとなり、仲間たちとともに那珂川を遡上しはじめます。産卵から孵化、そして海への流下・・・・わずか2週間・・・・受動的に流下するアユの仔魚にとってこの期間は、潮の干満を利用して河口から海へと移動するための知恵のように思えます。さあ、これから半年間はお別れです。

しかし、こんな小さな命がこんな大きな事をやってのけるんですから・・・・すごいどろろの話じゃないですね~。

良い産卵環境があるし、栄養が多く流れ込んだ那珂川河口や沿岸域にはアユの餌がたくさんある・・・・増水で人の手を掻い潜った大小さまざまなアユたち。これから、たくさんの卵を産むことでしょう。きっと来年も期待できますよ。

アユの耳石の日周輪は学研の顕微鏡でみえるのか?

前回の記事「那珂川の神無に群れ舞う笹の葉アユ」で書いたアユの耳石日周輪の話。アユの塩焼きで残った頭を分解して、ホジホジして耳石を取り出しまして・・・・ざっと削ってみました。

耳石って、裏表があって、それぞれ凹凸になっています。その凹の面を指につけ、ダイアモンド砥石に優しく擦りつけると、簡単に削れます。耳石の中心あたりがよく見えだしたら削るのは終了。目の細かな砥石で鏡面仕上げすれば、完璧です。最後に、プラスチックの板のようなもの(スライドガラスのかわり)にマニュキアで削った面を上にしてくっつけておけばOK、顕微鏡で観察できます。

今回は、ダイアモンド砥石で粗削りした状態の耳石を見てみました。

ん~・・・・・・

見える。

倍率を上げると・・・・・・暗い。

無理っぽい。

・・・・・

(おとうさん)サンタさんからのプレゼント・・・・何たのむ?顕微鏡いいんじゃない?スマホで見られるやつとか・・・・

(ちびっこ)・・・・・・。

サンタさんに便乗しようと活動中。

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