FISHES

あいはぶ かんさつ 肥料袋

「何釣ってんだい? 鑑札持ってっかい?」

これまでに何度聞かれたことでしょう。

事のはじまりは中学時代。
友達と川沿いに自転車をとめて、しばらく歩いて入る大きな淵にコイ釣りに行ったときのこと。
自転車に気づいてか、わざわざ訪ねてきた漁協の監視員の方々。

「何釣ってんだい? 鑑札持ってっかい?」

今は中学生以下釣りは無料ですが、当時は鑑札が必要でぼくら三人は年券を持っていた。
でもその日僕は本当に家に忘れちゃってて所持してなかった。

正直に「忘れてしまいました」と答えたものの
「持ってないなら帰れ」
と厳しく指導されたのを覚えています。

当時は嫌な気持ちが強かったですが、今思えば当然の対応だったんだなと振り返ります。

余談ですが、このときに釣ったコイはそこで拾った肥料袋に入れて帰るまで生かしていたんですが…
最終的に死にそうになってしまって蘇生のために人工呼吸を施したっていうのが今や武勇伝。

「コイに人工呼吸した」って話は中学中に広まって、先生からもいじられたほど。

僕がはじめて自分自身をさらけ出すことができた、いわばコイに中学デビューさせてもらった甘酸っぱいエピソード。
コイの口はプルンと弾力があり柔らかく生臭かった。

ちなみに今はライブバックという魚を生かしておく袋が流行りですが、肥料袋がその原型だったことは言うまでもありません。
余談ですが。

僕は毎日のように川にいるので、当然のことながら「鑑札もっていかい?」は聞かれます。
もはや宿命です。
釣りをする際、バッグに鑑札を付けていますし、鮎ならベストの背に入れています。
中学時代から十分に指導されてきていますから、「釣りするなら鑑札」はしっかりと擦りこまれてます。

こないだも聞かれたばかりです。
子どもだけ釣りさせていて、隣で僕が監督してるときにも聞かれます。
子どもは無料ですが監督する大人も一緒にやるんだから鑑札は必要ということなんでしょうね。

そして監視員の方からだけでなく、川で会う地元の方からも聞かれることも多いです。
これってすごいことだよなと思いますし、とても大事なことですよね。
逆上されて警察沙汰になることもありますから、声掛けは勇気が必要なことです。
自分の地域の漁場を守るためにそれぞれが声掛けしてくれているんですね。

鑑札って魚をとって売っている本職の人だけが必要なものなわけではなくて、川で魚を釣る獲る人ならだれでも必要なライセンスです。
ライセンスだからちゃんとルールもあります。
年々細かなルール変更がありますから、せめて鑑札購入した際に手渡される「公示」はしっかりと確認すべきです。

那珂川北部漁協HPより抜粋

ウナギ釣りなど餌釣りなど一人で5、6本竿を出している人も見かけますが、竿は一人3本までですし、鮎の解禁は6月1日とか投網はいつからとか、その他区域の制限などたくさんあります。
堰の下などは魚がたまりやすい場所ですので禁漁区になっている場合が多いので注意です。

今はネット上で調べれば何でも知ることができる時代です。
鑑札が必要なこととかルールとか、販売してる場所とかすぐにわかりますから、「知らなかった」ってほうが信じがたい。
電子鑑札もありますし、入手は容易です。

「持っていないなら釣りできない」っていうのは、限りある内水面の魚たちを取りすぎないっていういわば漁獲規制になるわけです。
人の漁獲圧って想像以上に高いものです。
ライセンスなしに持っていかれてしまうってのは漁業被害です。

鑑札は買えばだれでも持てるライセンスですが、金を払うって行為は一般的にハードルが高い。

「自然のものなのになんで金払わなきゃならないの?」
「そんなに釣れないし釣らないから必要ないっしょ?」
「どうせ監視員なんてこないっしょ?」

そうだよね~な部分もありますが、ルールをきちんと守ってみんなで川をたのしみたいですよね。

ちなみに現場で釣りをしていて監視員から鑑札を購入する場合は6000円です。

那珂川北部漁協HPより抜粋

たたた・・・・高っ!!!

しかも日釣り券しか買えません。現場売年券はないです。

那珂川北部漁協HPより抜粋

遊漁者全魚種釣年券が14000円ですから倍くらい出して年券買ったほうがいいのは一目瞭然です。
ちなみに僕は組合員網券で15000円、日釣り券を考えれば格安です。

このほかにもウナギの筒とか、カニかごとか、これとは別の許可が必要な漁法もあります。
漁協さんに確認しましょう。

最近だとバス釣りをするにも鑑札が必要です。
確かに漁場を共有する以上、バスも漁業権対象種も区別なく鑑札をもって那珂川に立つべきなのは理解できます。

ライセンスを得てルールを守り、気持ちよく魚と触れ合っていきたいですね。
子どもたちにも少しずつ教えていきたいなと思います。

未来の川と魚たちと、それらと関わる子どもたちのためにも必要なことです。

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