LIFE

それを知れば知るほどに…

一度の人生、やりたくないことやってる暇なんてない。
どこかで聞いたフレーズ、そう確かになと…

死ぬまでに僕は

「薫風」のギターを弾けるようになりたいです。
尺八…とはいかなくても竹笛を作って吹きたいです。ふと思い立ったときに川やその辺でさわやかな音色を奏でたいです。

そして、高床式の小屋を作りたいです。
そこでは彫刻や陶芸などの創作活動、盆栽、野鳥観察、スケッチなどをしたいです。

そして、作業場づくりも。

湿気高い裏側には窓をつけました。この景色が見たいので…。

子供のころ、母屋の裏手はすべてこのような岩盤に植生が繁茂したみずみずしい空間でした。
風が通り抜け、ひんやりと涼しく、ここを眺めながら祖母と夏の昼を過ごした記憶があります。

サワガニがいて、かつてご先祖が植栽したであろう植物やシダ類、コケ類がギュッとしきつまった空間。冬でも緑が豊かな空間です。ここが僕は好きで、大切にしたい場所でした。

地窓も長く設け、水がみえるようにしました。外に出て近づくと、コポ、コポ、コポ、ヒタ、ヒタ、ヒタと水の流れる音が聞こえます。とにかく、ガラスを切るのがたいへんでしたが、暗くじめついた雰囲気の家裏に光と微かな風を引き込むことに成功しました。

岩盤のスリットにはメノウも。思い切って窓をあけてよかった…。
梅雨の時期になれば、水の量も増して水音も窓からよく聴けると思います。たのしみです。

作業場づくりの場所をここにしたこと、それには多くの理由があります。

この地には昔の人の形跡が多くあり、それはじいちゃんやひいじいちゃんといった比較的最近のご先祖さまから…なんと縄文くらいまで。それらは僕をここにいたい気持ちにさせてくれるものです。

こどもの頃から石や土器に興味があって、とりわけヤジリは必死に畑を探しました…が見つからず。
でも今になって、ちびっこと色々探していると、どうも叩いた形跡のあるナイフのような石があることに気づきました。

多くはチャートという石でできているようです。
こう持つと、しっくりくる手持ちナイフのような感じ。

特徴的な灰色の石質。これが多い気がする。そして茶色の擦り痕のようなものがよく見られます。
何なのかといつも考えています。

これは石匙ではなかろうかと…

そして土器っぽいやつも。

何かを押しつぶしたような跡がある土器。

器か何かの底面のようです。

これも何かを押し付けたようにも見えてきます。

これも。
もはや見えないものも見えるようになったのか…
どれもこれも、そんな何かの痕のように見えてしまいます。

内側は黒く、使用した土器なのか、煤がついているようにも感じます。

これは湾曲した破片で、表面がやけに細かくざらついています。

内側は黒く、白っぽい石が交じっています。

縄の模様がついたものも。ここではかなりレアです。

これも縄?
どうも何かを指してつけたような跡です。

今まさに茂木のふみの森で開催中の展示で、茂木の遺跡のことが紹介されています。
色々な疑問を解決できないかと微かな期待を胸に行ってみたところ、これらがどうも「黒浜式土器」(縄文前期)にクリソツ。素人的にはとても似ているように思いました。

そして下の比較的最近っぽい灰褐色の器。これも似たようなものがあり、どうも「須恵器」(平安時代)ではなかろうかと…。

そして極めつけはこれでした。
ずっと気になっていたこれらの重い塊。結構畑にあって、何なのかずっと気になっていたものです。
一つとして同じものがなく、質感や色合い、形や模様が素敵すぎる塊。

想像していたとおり、「鉄滓」という鉄に関連するものでした。
砂鉄と木炭を使って鉄を作る時にでるカスだそう。ここ茂木には鍛冶遺跡があり、鉄器生産もされていたようです。刀なんかも作るのにつかわれたのだろうか…。時代としては平安時代だそうで、そうすると今から1000年くらい前です。

一つ謎が解けました。それと同時にとてつもない興奮、高揚感に。
展示の資料によると、この場所あたりは縄文、古墳、奈良・平安、鎌倉・室町時代のものが出土していると記されていました。

想像を絶する歳月がつまったこの地に、今自分がいる。
どこか恐ろしくもあり、今生きていることが不思議で、それと同時に「死にたくない」っという気持ちになりました。
どうゆうことかはわからいませんが、死にたくない。
それはもっと自分のいるこの地について知りたいからであると、今思います。

そして、それを知れば知るほどに、僕はこの地から離れるという選択ができなくなっている。
好きになっていくという表現のほうが前向きかもしれませんが、そんな風に思います。

土器だけではありません。
鉱物だって僕を引き留めます。畑にこんなんあったらそりゃ興奮しますよね。
もっと見つけたくなるはず。

ここ那珂川流域はとんでもなく魅力のつまった、何もないけど何でもある場所です。
もう認めるしか…ありません。

だから作ります、この地の粘土で…

植木鉢を。

地層の砂も混ぜちゃいます(ちびっこ作)。

壁にもえいやと塗っちゃいます。

大失敗。

ほんとすごいですよ、ここは。

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