伸びきった髪はたいそう煩わしく、ここぞというタイミングで頬をくすぐってくる。
そろそろ潮時か。

おさげにあいみょん姫カット…
…からのジーク戦士長。
様々な髪形を経由してくれる美容院なんて聞いたことはない。
そんな迷惑な客に疲れても、笑顔で、ビシッと応えてくれる僕が信仰する美容院。

あれは秋風が少々肌寒かった9月の朝。
上半身黄色の兄さんがニヤニヤしながら近づいてきた。
語ってくれたのは昨晩みたという夢の話。
ここでその内容の詳細を記すのは、あまりにも、もったいない。
その時は聞いてたいへん驚いたし、おもしろすぎて涙した。
…けど、一日、また一日と過ごしていく間に、それはどんどん大きく膨れ上がり…
胸の奥のほうと後頭部に大きなしこりを形成させた。
そのしこりの原因を探るように僕は、その夢の意味のようなものを真面目に考えるようになった。

まずひとつ思い至ったのは…
時間はこれまで縦の流れととらえていたのだが、そうではなくどうやら横っぽい。
今現在の刻一刻の間に、横方向にずらりと並ぶ未来もまた同時並行的に時が刻まれていく。
今この瞬間の行動や選択が未来を決定づけていく、極当たり前のこと。
それは雰囲気としてはスロットのようなイメージ。
そして現在も未来も、それぞれの時間が宇宙には複雑に絡み合い、いやばらっばらに存在していて、しかも個体ごとに多様にある。
自分自身から意識が剥離する寝ている間に宇宙へと飛び、拾ったり出逢ったりした時間を夢というカタチで持ち帰る。
つまり、兄さんが夢の中、シンモテギズム会場で体感したというか、出逢ったそれは、本当の未来だ。
そして、未来にもう鮎はいない。
さらにもうひとつ。
それは「生」。
まさに静動生ぐるんでらん|Riverline|の「生」だ。
運慶展。
喉仏がゴックンとしたのは見間違いじゃない。
その「生」の衝撃は一生もの。
シンモテギズムでの鰾年仏製作過程で感じたこれからにかける想い、FUUROさんの「廻生(天)」、運慶の喉仏ゴックン、兄さんの夢に現れた生きた一体…とが、わずか1カ月たらずの間にビシーッと怖いほどに1本線でつながった。

今の僕にはない「生」が未来の僕にはある。
…そう信じてものづくりをつづけていきたい。

兄さん、あのことはくれぐれも誰にも言わないでください。


















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