夕刻の那珂川…河川敷。
ずどどどどどどどぉ~おおおおおおおお~ん!!??
空高くから…何かが…
激しい橙光はシュワッっと消え…
もしや……
ん!?フリーザか…
どうやら舞い降りた…。
それは意外にも小さく…
宇宙から飛来したものとは思えないほどにウェッティ。
小さな鉱物が繊細な糸によってざらついた基石のわずかな窪みに編み込まれ…
張り付いている。
そして…
突然にも転がり出た。
そうだ…。
河川芸術界の巨匠…
髭長川飛螻蛄 先生だ!!
そう確信した…
いや…
それよりもずっと早く…
脳内に先生のお顔がよぎったその瞬間に…
…もがき出た。
おめでとうございます。
ひげなが先生。
ご婦人様もご一緒ですか。
先生の作品はどれも…
繊細で…それでいて力強い。
美しく…
まぶしい…
髭:手に取ってどうぞ。
気さくな先生の声におもわず手をそえる。
この作品は?
髭:一見カオスだが、大きさ、角度、色…どれもすべて計算のうえ構成しておる。偶然も当然のことながら計算のうえじゃ。そして、その構成する鉱物、石、砂、木くず、枯葉、生き物の残渣、死骸…私の好きなあらゆるものすべてを詰め込んでおる。
なるほど…
これが河川芸術の世界か。
っと…納得した気になっていると…
突如現れた。
カワゲラ先生!!
今は「ダンスミュージック」で自己表現されているとのこと…
今日はお踊りになられないのですか?
・・・
・・
・
そして…
河川芸術界の注目の新人…
HAMI ART所属
那珂川鮎美さんの鮎の…
「ハミアート」
タイトル「上下顎櫛唇模様」
…ん~読めない。
…ハミが鮮明なタッチで描かれている…
それを石のキャンバスがまた…ひきたてる。
泥の上にも豪快に…
乾燥後を想定してウェットの状態で描いたという。
亀裂とハミの融合。
実に美しい。
まるで水墨画。
そして流れに舞う鮎のようでもある。
なんともキレがいい。
潔さを感じる。
一方で柔らかく温かくもある。
なぜだろうか。
相反するものが溶け合うような感覚は。
そして…水の流れも感じられる。
群ればむ鮎のごとく。
石をハム音までもが聴こえてくる。
ハミが浅い…
そこまで表現されるとは…。
ハミの配置には悩まされたとか。
石の大きさ、数、形…鮎の大きさ、数、闘争心…
いずれの条件をも見極めて。
そして、翌年の遡上についても予言的描写を。
早期遡上多し…
〇月〇日遡上初観測…例年より……。
早期遡上のみならず、中後期も安定の遡上が見込める…
これには少々懐疑的ではあるが…
河川芸術の世界とは…
どれほどまでに深いのだろうか。
偶然を装った想定なのか…計算なのか…
考えるほどに味わい深くなる世界。
まるで桜の花びらが春の那珂川を流れるかのような…
そんな情景を想像させ、愉しませてくれる…
川と人と、そこに棲む生き物たちを結び付けるもの。
僕はそれを…
もっと知りたいと思った。
この記事へのコメントはありません。