FISHES

サクラマスの産卵場を探しに2021

那珂川のサクラマスに興味が湧いた2010年。
それは、学生生活が終わって茂木に帰ってきた年のこと。

三陸で僕がフィールドにしていた海まで数キロの極狭小沿岸河川にはやはり小型のサクラマスがいて、それは秋のサケの遡上のころに河川へとやってきたのでした。

耳石の微量元素をもとにした回遊履歴の結果では、秋の遡上まで汽水と海とを回遊しているような生活史が読み取れたのでした。

タモ網でつかまえられるほどの距離感にサクラマスがいる…鮎も遡上し、これまたタモ網でとれる。

こんな三陸の河川での魚たちの移動行動を肌で実感することができた体験が那珂川のサクラマスへの興味を湧き立てたのだと思います。

かつては…

かつては、かつては…
なんだか悲しい表現。
木ノ俣川の鱒たち産卵のようす…かつての。

橋から見るとにぎわっておりました。
毎年見に行こうと恒例の観察行事になりつつあるなかで、きちんと状況を把握したいという強い想いがあって、ようやくなんとか調査を計画することができたのでした。

2016年から始まったサクラマス・ヤマメの産卵調査。
那珂川に生息するヤマメ・サクラマスの産卵場調査2016

残念ながらこれを期に、年々観察される数は減少。
昨年は見に行くことができませんでしたが、台風があった2019には放流された親魚のヤマメの産卵の様子は確認できましたが、サクラマスは見られませんでした。

台風のあとでもそう大きくは環境が変わっているわけでもなくといった感じでした。
ま~ほんの少しの区間を見ただけですからね。

そして2021年10月中旬…行ってまいりました。

見たい…いざ渓へ

ウェーディングシューズを忘れてしまい、クロックス風のサンダルで川歩きする若林さん。

2021年の観察は、一人ではありませんでした。
RIVER-WALK』の若林さん。

心強い。

岩盤の渓。
例年濃厚なポイントはやや砂利がたまり気味なのか水が滞っている様子で、瀬肩に掘り跡がいくつかあったものの、魚は観察できず。

これだけ基礎が岩盤の渓ではあれだけの台風(2019年19号)の影響を受けても礫のたまる場所というのはそう変わらないようで、過去と変わらない場所にやはり産卵床がある。そんな印象。

堰堤直下の大きなたまりにはヤマメ。ここの堰堤がなくなったら、上流まで産卵空間は増えるのだろうな。
サクラマスの亡骸はなく、あったのはモグラ?の亡骸

ピンスポット、まさに局所的にしかない産卵適所をきちんと選択して、産むということに驚きました。
石のたまる場所が変わらないならば、産む場所もそうは変わらない。

産卵床のヤマメ。望遠レンズを忘れて、50mm単焦マクロで寄る。

礫はしっかりと掘られ、藻類のはえた石との色の差で産卵床は明確。
親はいないけれど、堀り跡がぽつらぽつらとみられました。

ヤマメ親魚の姿も。産卵床に光がさす。

場所を変え、支流から本流域へ。

見つかるのは親なき掘り跡ばかり、ちょっとだけ掘ってみた的なところも。
サクラマスの姿はない。

久々の渓で、慣れない足元、一歩一歩がおぼつかない僕。
見ているのは川ではなく、足元。

そんななか、後ろからクロックス風シューズをはいて、じわじわと若林さん。
みつけてくださいました。

4年ぶりの再会

50㎜単焦点マクロでは写しとめることのできない産卵床。
親は在席中。
一個体は大きい。
40㎝は超えているような感じ。雌だ。

一気に高揚。

口数が2人で増える。

掘る様子を観察すると、体の彩やバランスはもうサクラマス。
これはサクラマスだ!!

4年ぶりの再会をはたすことができました。

那珂川のサクラマスには海洋生活数カ月から1年数カ月のサクラマス(【魚類妄想生態学】那珂川に生息するサクラマスの生活史)がいるのですが、40㎝前半はちょうどこの2タイプの境目なサイズ。

きっと短期降海型のサクラマスなのかな?

感動のなか、サクラマスを探しにさらに上流へ。
そして、若林さんがエモいといった石ゴロゴロでこれまで僕がスルーしていた場所を少しだけ歩いてみることに。

すると、ある、ある。

ヤマメのペアも。
掘り返された石の大きさや深さの感じから、サクラマスなのではないかと思えるほどの産卵床も。

石が大きく、礫もさほどないだろうとスルーしていたこの区間にこそ産卵床がある。
隠れられる石と深みがあり、その近くに産卵に適した礫床がある。

自分自身のイメージや感覚にとらわれて、視点がずいぶんと狭くなっていました。
那珂川上流域の産卵調査。
しっかりと踏査して産卵状況を把握すべき場所がどうやらほかにありそうです。

まだ未踏査の場所にこそサクラマスの姿があるのかもしれない。
そうはいっても、これまで観察されていた場所にいないことを考えれば、全体的に少ないことは想像できます。

かつてのサクラマスペア。

毎年毎年、海洋生活を経て下流域から遡上してくるサクラマス。
遡上したてのサクラマスというのは海での魚食本能を引きずった状態ということもあって、淡水にはいって時間がたった状態に比べて釣れやすいといいます。

数が極めて少ない那珂川のサクラマスに出会うためには、遡上初期にできる限り下流域で待ち構えること。
これに尽きるのでしょう。

あと数年でまったく見られなくなる…なんてことがないように何ができるのでしょうか。

放流というのは個人的には違和感があって、それなら今いる野生魚を捕らないC&Rがいい…。
そして、サクラマスやヤマメの銛突きは制限が必要…上流域ともなれば、ここまで漁獲圧が高い漁法はありません。

っと、まぁそうはいっても、なんでサクラマスを残したいのか…。
それは釣りたいからなんですが、なにより将来もちゃんといてほしいから。
ちびっこが大人になった時にもいてほしいし、釣りをしてほしい。

でも、その釣ること自体がサクラマスを減らす原因にもなり得るわけで…
極論、釣りをしなければいいじゃないかってところに行き着くんですよね。
でもその選択はしたくない、笑。やはり触れ合いたい。

様々な矛盾が含まれているのです。

さ~どうするか。

考えはまとまりません。

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