随分と前の食卓です。
こうして、川の魚を食卓にのぼらせる…
いや遡上させることこそが僕たちのLifeスタイル。
魚をとって暮らすことだと、しみじみと思います。
いつしか僕らの川での釣りは、「遊び」や「趣味」の世界から「生活」へと移り変わってきました。
これまでたどってきたであろう釣りの歴史を戻る方向に進んでいるようにも思います。
冬場にとっておいたニゴイの若魚。
じっくりと焼き干しして味わおうとも思っていましたが、結局そうせずに、オイル煮に。
ニゴイ、そういうだけで、どこかマイナスのイメージがあるかもしれませんね。
確かに、似鯉ですから鯉のネクスト感が出ちゃってます。
しかし、それは違います。
はっきり申しまして、先入観です。
おいしいですからぜひ味わってもらいたい一品です。
オイカワやカワムツも一緒に入っています。
それぞれに味わいが異なるのもまた、川魚の魅力。
川魚のなかでも、とびっきり底隠れしていて、なかなかお目にかかれない魚…
そう…「バカゾウ」
ばかぞう…
おそらくは、馬鹿面(バカヅラ)からきているのであろうとは思いますが、ひどい呼び名です。
でも僕たちは、愛着をもって「バカゾウ」と呼びます。
「バカゾウはうんまんだ~うんまいんだ~」
「身がや~っこくって、ほろほろしててよ~」
「焼いて醤油かかてくうんだ~、うんまいんだ~」
そ~んな風に父はよく言っていました。
ですので、今回はよ~く観察した後に、シンプルにいただいてみようかと、思った次第です。
想像以上に身は柔らかく、鱗も薄くやわらかいバカゾウ。
白銀の体、なんとクールなことか。
ほらほら、透き通った腹のほう、ご覧くださいね。
美しいでしょ~。
顔もなかなかいい。口もとなんかほかにいませんよ。
こんな素敵な髭と唇をお持ちです。
パフパフパフパフ、スパスパスパスパ、砂底砂利底をやっていつも震えているんですよ顔がね。
想像しただけで可愛いですよ。
鰓蓋後縁なんか白く、まるでエレガントなマフラーをしているかのようです。
ほらね、血管が見えるほどに薄く透き通った身です。
さ~食べましょう。
もちろんシンプルに塩焼きです。
上から、オイカワ雄婚姻色、バカゾウ(かまつか)、ウグイ、鮎です。
しっかりと焼けています。
想像以上に粘液が体表からでており、焼き上がりはどこかカパッカパっといった感じ。
そのカパッカパの皮をパカッと割ると、でました白くホロホロの身が!
とにかく柔らかく、透明感のある、やわらか~な身です。
オイカワよりはウグイに近い身の細かさでねっとりしています。
一口食べると…ん?
そう、ご覧のとおり小骨が多い。
随分と多い…こんな「Y」のような骨がほんと多いんです。
ニゴイにもありますが、そこまで気になりませんでしたが、これはちょっと。
少々食べづらく…味は…
確かに触感はよく、味も悪くないですが、体表の粘液が多めで…っといったところでなんとなく懸念していましたが、やや生臭さを感じてしまいました。
「川魚特有の臭み」
川魚全体に染み付くこの表現、これは世の中で一般的にいわれてしまっているただの先入観の塊のような言葉であると、どうも納得していない僕ですが、今回ばかりはちょっと生臭さを感じてしまいました。
こ、これが川魚特有の…臭み?…なのか…
いいや、違う。
バカゾウ…
いいや、カマツカよ。
きっと焼きが足りなかったことや、締めたてを焼いたことも影響していることでしょう。
改めて食べてみたいと思ったバカゾウでした。
そしてほかの誰かにもおすそ分けしたいな。
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