あっという間に3月上旬が終わろうとしている…。
またしてもさむ~い雪。
季節が逆戻り。

3月6日、小さな塊の群れで遡上アユがここ栃木県にもやってきた。
前々日の雨で朝の水はひえっひえだったが、夕方にはなんとか温むというコンディション。
それでもアユはやってくるようだ。

想像以上にアユの冷水への適応は高いように感じる。
河口より24km地点で2月24日に観察したアユたちだとすれば、ここ栃木の48km地点へは10日程で到達したことになる。
遡上スピードにして2.8km/日
水温が低い条件の中、なかなか順調に遡上できていると思う。
遡上スピードの詳細は下記のとおり。
2月に茨城での調査ではモクズガニ幼体の遡上は限りなく少なかったが、ここ栃木にきて3月に入ると日に日にモクズガニの数が増えてきた。
やはりアユと同様にモクズガニの遡上も大潮に大きく影響を受けているようだ。
モクズガニを指標にアユの遡上を予想することも可能だと感じているところ。

そしてアユが観察されたころ、3月5日、6日とダムに棲むカワウたちの姿が目だってきた。
50羽ほどの群だが遡上アユを捕食するおなじみの待場に散見されるようになった。
それと時を同じくし、サギの群も目立ち始めた。
鳥たちの行動が明らかに活発化しだしたタイミングにアユはやってきていた。
これまで自分自身が着目していた遡上アユとカワウサギの関係性が目に見える形でマッチした瞬間だった。
このあとアユの遡上が本格化してくると200~300羽のカワウの大群がお越しになる。
昨年は3月末だったが今年もまたやってくるのだろう。
僕はたのしみで仕方ない。

話はややそれるが、
この6年でヤマセミを追い越してダントツで大好きになった鳥がいる。
それはカワウだ。
知っている人なら綺麗でカッコいいのはもうおわかりのとおり。
爆風の中、巧みに羽を操り音速のごとくトリッキーに飛行する姿が目に焼き付いて離れない。

それとやはり水中での遊泳能力の高さ。
戦略的な狩りだったり、動きそのものが面白く、いつかその様子を水中でとらえたい。
たまたまカワウの遊泳シーンがほんの少しだけとれたのでここに記録したい。
カメラに気づいたその動きがなんとも独特でますますそそられてしまった。
まじかでカワウを見るようになって、2年前に開催した展示会「古より生す」で製作した「残像」というカワウの作品を改めて見返してみると、もうそこにはこのカワウが浮かび上がっていた。
時を経て、また改めてカワウの造形物を作ってみたいと思っている。

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早期遡上は早く釣られる
そしてやっと今回の本題。
「早生まれ個体は早くに釣られている」
早期遡上アユには早生まれの個体が多いことが知られていて、つまりは早生まれアユが漁期の前半に釣られているだろうことが予想できる。
9月以降になると11月中旬以降に孵化した個体が中心になってきていて、8月までとは雰囲気が変わるように見える。
10月も遅生まれの構成。
やはり出来上がりの早い早生まれから釣られていき、後半は成長が遅れていた遅生まれにシフトしていく、ということだろうか。

図をみると8月茂木の9月下旬孵化のポツンが気になる。
産卵で降ってきた早生まれを意味しているようにも感じる。
9月以降は茂木烏山で早生まれの早期産卵降下個体が釣れている…というのが妄想生態。
9月10月の茂木烏山のサンプルが見たかった…悔やまれる。
それと寒井黒羽と10月になって早生まれが交じるパタン。
偶然なのか、それとももっと上流から降りてきた早生まれなのか。
これも気になる。
残念ながら、サンプル数が非常に少ないので現状ではなんともはっきりしたことは言えないが、うっすらと雰囲気はある。
親アユは耳石が黒ずんでいて解析が難しいしが、各月一地点30個体くらいでもう一度解析したいところ。
しかしこのデータは2014年の結果だからもう12年も経過して鮎たちの事情も大きく変化している可能性はある。
それでも、例えば早期遡上を大事に考えるなら9月以降は下流域の漁期を限定化するとか、10月以降禁漁とか、そういった産卵親魚保護に向けたデータを得られる可能性が十分にある。
現状、もしそうなったとしたら降りアユが釣獲のメインとなりつつある茂木地区では、ようやく釣れるようになる時期に漁獲ができない、ってことになるんだが・・・笑
いずれにしても遡上魚のみならず、釣獲魚の孵化日情報からも得られるものは大きいと思う。
縄張りアユと遺伝
Google先生に聞くと、AIが教えてくれる。
アユの縄張りと遺伝の関係はいくつも論文になっている。

僕は読んではいませんが、縄張り形成するアユと群れアユとは遺伝的な差異があり、6~7月ごろのアユの縄張り形成の強さは遺伝的な要因に依存している、らしい。
つまり、アユは友釣りし続けることで遺伝的に縄張り形成する個体を選択的に抜いてしまっている、ということになる。
また、全段落の「早期遡上アユは早期に釣れる」という傾向からすれば、よく追う早期遡上集団をより選択的に漁期前半に抜いてしまっている、ということになろうか。
縄張りと遺伝については研究員をしていたころから職場で話題になっていたし、頭にはあったが遺伝的なものに左右されるってところがどうも面白味を削いでしまって、あまり興味を持てなかった。
一昨年のこと、生涯川漁師をされてきたレジェンドと那珂川のアユについて話をしたのだが、その時におっしゃっていたのが「縄張りアユ選択的漁獲による不漁」。友釣りで縄張りアユを抜くことでどんどん釣れなくなる、ということだった。
那珂川に精通する方からそのような言葉を耳にするとは思いもしなかったのもあって、僕はその時になってはじめて実感がわいた。
なんども聞いたフレーズのはずが、どうにもこの時だけは響いた。
川の石が減少したってことも言っていて、昔は背びれの伸長が目立った縄張りアユがよく確認できたとのことだった。
那珂川本流のアユの姿形と石の大きな支流のアユとでは背びれの伸長具合に明らかな違いがある。
例外はあるものの、基本的にここらの本流のアユは背びれがあまり発達していない。
スレンダーでまさに圧しの強り流れの中でハミながら移動しているアユといった印象。
一方で石の大きな支流ではずんぐりしていて背びれが伸長している。

この違いは石の大きさやクレーター空間のような、つまりは個体が縄ばるスポットの有無が関係している。
石と石とで囲まれた居心地の良い狭小空間が点在する支流では縄張りを持ちやすくなり、背びれが伸長する。
これは実感している。
当然、遺伝的に他の河川とは異なる那珂川独自の形質があるものとは思うが、那珂川のアユでもその生息環境によって背びれの伸長具合は大きく変化するということ。

つまり、追う追わないは縄張りに関する遺伝的なものと、石の存在といった環境の両方が作用していると言える。
友釣ることで追いの良い形質を持つアユを取りのどいてしまっているのと同時に、石の減少による縄張り意識の衰退もまた、追わないアユ、つまりは釣れないアユを生み出してしまっているのだろう。
近年感じている「釣れない」って感覚と「小さな鮎はいる」ってところが、よりリアルにさせる。







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