AYU

あの日僕らは別々の場所で同じ鮎を見た

今から11年前。
東日本大震災。

ここ那珂川の遡上鮎も放射能の影響を受け、海から遡上した鮎は当時480ベクレル。

当初は基準値が500だったので基準値以下との響きに、どこか安堵したような記憶があります。
その後に100ベクレル基準に変わり、その時の480という数字の大きさに困惑したことも覚えています。

ちょどその2011年の春…雨ふる日。
配属先の上司に連れられて、「那珂川に暮らす」ある方のところへとあいさつに伺ったのでした。

どのような話をしたかはっきりと覚えていませんが、那珂川の話をしました。
そして僕は、生まれが茂木町で魚釣りが好きだ、ということを話したと思います。
温かな空気に包まれた部屋と優しい笑顔が印象に残っています。

それから11年が経ち、その方は一昨年に亡くなられました。
僕があることを決めた年でした。

七福神が揺れた日

以前どこかの記事ですでに書いたかもしれませんが、祖母が亡くなった一昨年の春の出来事。

そうです、揺れたのです。
あの七福神が…。

あの七福神とは、亡くなった祖母の部屋に飾ってあった七福神のことで、竹の枝竿に七福神がぶら下がったオブジェ?飾り?のことです。

そんなものを祖母が持っていてなんてのは、祖母が死ぬまで気づきもしなかったのですが、亡くなったあとに「こんなのあった~」っと、茶の間に持ってきて飾っておいたのでした。

そして漁最終日と決めていたその日、仕掛けをして自宅に戻り…
「今日は最後の日だから、全身全霊をかけてポイントを決めてきた。これで獲れなかったもう来年はやめるわ」
そんなことを言ったのでした。

…すると妻は
「絶対とれるよ、だって七福神揺れたもん」
「竹がしなってはじけるように竿がゆれたんだよ」

それを聞いて半分わらけましたが、なぜかワクワクというか、ゾワ~っとなりました。
物理的衝撃や風の影響を受けないところに飾ってあったこともあって、そして少し前に亡くなった祖母のものであることもあって、期待なのか…なんなのか、不思議な気持ちになりました。

そして…

そう…結果は

大漁

最終日、渾身の仕掛けには、それはそれは見事に…。

僕は今のこの道を決めたのでした。

すべてはとらえ方次第でしょうが、あまりにもな出来事。
ファンタジーでもなんでもなく、僕は心から、今でも信じています。

そして、冒頭の11年前にお会いした那珂川に暮らすある方が亡くなられたのが、この年の秋のことでした。

あの日僕らは…

2014年4月12日、那珂川茂木地区。
僕は早朝からサクラマスを狙い那珂川にいました。

ログ・サーモンとサイしか釣れなかったこの日、陽がのぼってしばらくしたころ、そこにはこれまでに見たことのない魚の群れが…。

天然遡上鮎の帯状の群れでした。

岸際の水が遡上する鮎の力でざわざわと波立ち、それが下流から上流へと続いているのでした。
しばらく、1時間以上にわたって観察していても、一向にその群れは途切れることはありませんでした。

遡上鮎のハミアト。小さいです。

ちょうどこの数日後生まれたのが我が家のちびっ子。
名前に「遡上」の「遡」の字をいれたのは、いうまでもありません。

それまで小さな塊で遡上する鮎の姿を見たことは何度もありましたが、これほどまでの遡上鮎をみた経験はありませんでした。

ちょどその日、時を同じくして、この鮎の群れを確認されていた方がおられました。
そうです。

ここ十年で一番の遡上

そうおっしゃっていたと、伝え聞きました。

はじめてお会いしたのが2011年、それ以降、一度もお会いする機会はありませんでしたが、今思えば、ここ茂木で、時を同じくして、同じ鮎の群れを観察していたというのは…
言葉にはできない想いです。

あの日僕らは別々の場所で同じ鮎を見た…

僕らは…とは、たいへん失礼で、たいへん図々しいですが、一緒に鮎を見たという感覚で当時の様子を今あらためて振り返っています。

これからの那珂川との関わり方について考え、また一歩…。
今日はそんな日でした。

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