TOU
とう
そう読みます。
製作のはじまりはだいぶ前に遡ります。
当時の名前は「Black Yam」。
黒い自然薯の蔓という意味で、この流木の雰囲気から名付けたもの。
現在もこの流木の種類はわからないのですが、グリップはBlack Yam流木ということで記録したいと思います。
そういえば、その時は焼流竹(やるだけ)フレームという薄くひいた竹に火をいれて自然に焼き進む形をそのままに、フレーム内面に据えた2層の竹フレームでした。接着がいまいちで、今回は取り除き修正することに。
いつか実現したい焼流竹フレームデザインです。
そう、このBlack Yamは2年前の【MOLAR】というランディングネットと同じグリップ素材です。
とにかく、好みのグリップで竹フレームと相性がいい。
そしてなにより軽い。
63g
フレーム内径は縦25cmです。
ネットの深さは25cmほど。
バランスも気に入っており、色合いの統一感も今回のこだわりです。
僕のつくるランディングネットは那珂川流域の僕の好きな素材を集めてつくるもので、自然素材。
クレモナだけはいまのところ化学繊維ですが、できる限りMADE IN NAKA RIVER。
なんかいいな~の寄せ集めでつくったランディングネットです。
一つ一つ違うので、それぞれに名前をつけるというのもこだわりです。
【TOU】
名前の由来は…
橙色(とうしょく)の「橙」。
竹、流木そしてネットカラーの橙です。
そして、もう一つは…
「透」(とう)
後に写真が出てきますが、Black Yam流木グリップにある自然にできた穴というか隙間。そこから向こう側を透視できるということからの「透」です。
さらに…
「十魚」(とうお)
十匹の魚しかすくえないほど小さく華奢なというような意味合いです。
もっとすくえるとは思いますが、軽いだけに取り扱いは注意ですかね。
そんな3つの「とう」を意味する【TOU】です。
Black Yam流木グリップ。
この表面の凹凸は自然そのもの。
全体的に黒く、枯れて木内部のヤニ成分が表面にあらわれ固まった…そんな特徴的な流木です。
これはあくまで僕の妄想ですが。
表面のぼこぼこを削ることで橙色の木彩とヤニ部分の黒が絶妙に表現されました。
削れば削るほど表情がかわり、ここぞというタイミングで削りをやめることで好みの状態に仕上げました。
自家製ニホンミツバチ蜜蝋とエゴマ油ブレンドの特製ワックスでツルピカに。
艶やかしすぎない適度なツルピカです。
ここの凹には泥蜂の泥巣を焼いた、通称「泥蜂液」を注入して、泥巣のざらついた質感を表現。
これが名前の由来のひとつ「透」の部分。
Black Yamグリップにあいていた隙間の部分です。自然な隙間です。
グリップ側面にはRiverlineの頭文字をとった「RL」のロゴを。
釣り針をイメージしたもうひとつのロゴです。
流木の表面の様々な層が露出して、彩も様々に。
節があったであろう部分も。
木を感じます。
側面からも。流木自体が細いので側面にも黒と橙色の木彩が出ています。
竹彩との相性やはりいいですね。
フレームの素材は竹で、これは孟宗竹です。
ナイロン糸でネットをしつけています。黒なので素材の雰囲気を損ないません。
できるだけ穴を小さくして、竹フレーム強度を保つ意味もあります。
フレーム内側の様子です。
三角形に加工してあり、その頂点にネットが付くようになっています。
竹の橙色の繊維が美しい。
焼きを入れてマムシ感をだすのもいいですが、竹そのままの彩もいい。
グリップとフレームの接合部。
薄くした鹿角を据えています。ここにも泥蜂液を注入し、Black Yam流木の黒になじむように工夫しました。
鹿角のヤニの部分も橙色がかっています。
少し斜めから見ると、流木の繊維で山と谷が形成されています。
絶妙な雰囲気がだせたと思います。
泥蜂液の艶感もなかなかマッド感もあっていいです。
反対側の鹿角です。斜めに切り込んだ流木グリップですので、左右で鹿角の長さが違います。
少し遊び心で切り離した鹿角を凸レーション。左右のバランスをとりました。
そして最後にネットです。
手編みのクレモナネットになります。
目は15mmで深さは25cmほど。
ゴールド系の染色を行ったあと、フレーム近くは、柿渋泥鉄の自然染色をおこなってグラデーションをつけました。
染色に水に漬けて洗っているときの写真です。
水につけるとまた色合いがかわってたのしめます。
やはり自然染色の渋色はこの那珂川流域の素材でつくるランディングネットにしっくりきます。
バリエーションを増やしたいところです。
さて、次でいよいよ年末のランディングネットの紹介は最後になります。
お楽しみに。
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