LIFE

ほこりという思い出

新年を迎えて数日。
みのまわりの整理に励んでいます。

久々の積雪。
作業の合間、ゆっくりとぼたん雪を眺める…残念ながらそんな余裕はありませんでした。

新年早々、焦る気持ちに押しつぶされそうです。

冬のここは、日当たりが良くない場所として近所で断トツ。
夕方3時に太陽は山に沈み、朝は8時半過ぎに山から顔を出します。

そして川の存在がより一層ここを寒くさせているようです。

そんな立地でも太陽の光で雪や氷が解けていく様子をワイドビューで見られるのはうれしい。

竹は雪の重みでお辞儀をし、陽の光を浴びると顔をあげはじめる。
大きな雪の塊が竹の葉から落ちるたびに、粉雪がまって煌く。
写真には納められませんでしたが、僕の好きな光景。

昨夜の雪は数センチ積もった程度でしたが、朝一の散歩で十分僕を楽しませてくれました。

あっという間に雪から水へと変化し、低いほうへ、低いほうへ…
そして川へと流れていく。

この場所はそんな当たり前のことではありますが、見届けられる場所でもあるんだな、と思ったのでした。

近くには沢もあって滝もあり、こんな寒い冬には大きな氷柱を見ることもできる。
近寄って、氷柱を折って食べてみる。ちょっとほこり臭い。

こどもの頃に自分がやっていたことを自分のこどもたちができる。
ありがたい。

久々に食べてみましたが、ほこりっぽさは全くなく、クリアー。
まさに透きとおった味。

川は静かで青黒い。

川は結氷し、気温の上昇とともにはがれて流れていく。

昔はもっと雪が降ったように記憶していて、氷ももっと張っていたと思います。

寒雑魚はどうしているのでしょうか。
一番深~い場所に身を寄せ合っているのでしょうか。
きっと寒いのだろうな、体だけでなく心もギリギリなのだろうな。お腹すいてんだろな。
そして来る春に希望を抱きながら待っているのだろうな。

そう妄想することで捕りたい気持ちを鎮めます。

眼には見えない水の中。
魚たちの命の営みというものを妄想することは、釣りや魚を捕り、そして食べるうえで非常に大切なことなのだと思います。
単なる「もの」や「食料」、「ターゲット」としてではなく、「命」であるということ。
いや、すごく当たり前のことですが、意外と失ってしまっていると思います。

犬や猫、イノシシやクマ、鹿、サル、豚や牛、トラ…そしてヒト。
魚とは、命のとらえ方、正直違うように思うのです。僕だけでしょうか。

だからこそ、魚たちの暮らしを擬人化して妄想する、捉えることが、

「ありがとう」「ごちそうさまでした」という気持ちや「今はもう捕るのをやめよう」…そんな判断につながるのではないだろうかと、とても重要なことなのではなかろうかと、ふと思ったのでした。

タヌキでしょうか。
雪のあとは生きものたちの痕跡が楽しい。

まるでサクラが咲いたようなクヌギ。

モグラ。いつもごもごやったのでしょうか。

きっと土の中はあったかいんでしょうね。

わずか10分程度の散歩ですが色々と想像やら妄想ができた雪の朝でした。

・・・

話はがらりと変わりますが、敷地内の杉。
年末に伐採しました。
一番太いもので胴回り2mほど。

ご先祖様が植えた杉なので、いつかこの家の何かには活用したいという想いから製材することになりました。
はじめは、自分の舟用に製材しようかと検討したのですが、ちょっと板にしたときに幅がとれなさそうだったので諦め、テーブルや本棚、床板などとして活用できる形で製材しました。

こどもの頃からあった木があっという間に伐採され、倒れる様子には少し涙がこみ上げてきましたが、いざ、製材してまた家に帰ってくると、木のいい匂いや木目の美しさもあってか、とても感動しました。

木材としての価値や質というのは置いておいて、ここにご先祖が植えて、長い年月をかけてここで育って、板になった…そのことに価値がある。

はじめは全部チップにして処分する、と言っていた父も、やってよかった、じいちゃんばあちゃん、ひいじいちゃんひいばあちゃんも喜んでる…そう言っていました。

昔は植林、管理、伐採、運搬、製材、家や納屋を建てる、そういったことを全部自分たちでやったのだからすごい。
すごいと思うと同時に、この木はそういった目的もあって今までこうしてここまでの大きさに育って立っているのだと思うと、やはり捨てるという選択肢はありませんでした。

見えない見ることのできない、知ることのできない所を想像や妄想をふくらませることで解釈し、判断する。
さきほどの魚の話とも少しにているかもしれません。

製材した杉板が返ってきて、想像以上の量に若干戸惑いましたが、この機会に納屋を整理。
この家族の歴史とともに残されてきた木材や木っ端、古竹、石、そしてかつてからずっと溜まっていたであろう「ほこり」を取り払い、なんとか杉板を迎えいれました。

すっかりと見通しが良くなった東側。
まさに那珂川の方角。

かつて鱒が生えたことがあるケヤキが一本残り、ムササビが棲んでいた巣箱がなんか鬼太郎ハウスというかツリーハウスっぽくていい感じになりました。

まだまだ掃除は続きますが、今年はみのまわりの整理を少しずつすすめようと思っています。
ばあちゃんが住んでいた離れを工房にできるよう、少しずつセルフビルドしていきたいと思います。

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