HANDMADE WORKS

もきゅうが愛した川藻盌

2025年秋ごっちゃん窯での初焼き(融け越えてその先へ)。

早速、流域の泥師「泥蜂融越」先生のもとへ。

那珂川を見渡せる茶室にて、ごっちゃん窯で焼きあがった藻盌でお茶をたしなむ。
藻屑色の着物にたかるのは茹で上がったモクズガニだろうか…。
川泥をはじめとする流域土の記憶と果てしなく繋がれてきたモクズガニの命とが融合した茶盌。
先生はこの盌にどのようなことを想うのだろうか。

さて、秋の成果を最大限2026年春にぶつけるべく、融け越えた流域土の器たちを十二分に観察し、想像に妄想を膨らませて決めた流域灰たちの配合。

流域土2種35%(5:5)+益子土65%の配合は茶碗に。
川粘土や自宅地層土を下地にしてその上からカワシオグサ灰やモクズガニ灰を掛けた。
前回の土とこれらの独自灰とのミックスで生まれた彩具合を参考してのこと。

ぐい吞みは流域土と益子土を半々としつつ、煤ブレンドや灰ブレンド、そして流域白土をブレンドしたパタンを用意。
カワシオグサ灰とモクズガニ灰をシンプルに二点がけ。

イメージはつかめていたが、実際にどうなるかはやはり自信がなかったというのが本音。
いざ窯焚き。

ごっちゃん窯へ。

作業場に佇むごっちゃんの作品。
西陽に照らされ浮かび上がる…荒々しさと静けさを醸すまるで神様のようだった。

幾度となく焚かれ耐えた道具たち。

それさえもが美しく存在している。

足元にはたくさんのガラス玉。

今回は長男と初日夕~夜の火番を担当させていただいた。

温度管理はたいへん難しく最後までコツをつかめぬままだったが、息子と過ごした貴重な時間となった。
陶芸への関心や次回もやってみたい、自分も作品を穴窯で焼いてみたい、そんな想いも生まれたようだった。

最終日には家族を連れて窯焚きを見学。
1200℃を越える窯のようすは初日とは大きく異なって強いエネルギーに満ちていた。

陶器市初日がちょうど窯出し日。
陶器市も楽しみだったが、窯出しが気になって気になって…。
ごっちゃんからの「いい感じ」の連絡に心が和らいでなんとか陶器市8日間も乗り越えることができた。

関東髑髏蝋霧層藻屑蟹盌

流域展開かんとうどくろうむそうもくずがにわん

インフルエンザで寝込んでいたあの日、ティーバーで見つくした呪術廻戦。
「領域展開」という言葉の響きと作中で用いられる意味。
今僕らが、そして先生方がやっていることはまさに領域展開なんだと、縮こまっていた自分になんだか変な力と自信が湧いてきた。
この度、領域ならぬ流域としまして展開するという表現に行き着きました…。

関東ロームな自宅の層を下地に施し、そこへモクズガニ灰をあてた盌。

幅12.5㎝/高さ9.8㎝

奇跡的に想像していたような黄金色が現れた。
那珂川の夜明け…山間を縫って流れに差し込む蜜蝋色のアシンメトリーな朝陽のよう。
とりわけモクズガニ灰の粗ガラがかかった部分はカセというものなのか何なのか窯の灰と反応してマットに仕上がった。
おそらく、ごっちゃん窯変だろう。

そしてさらに驚きたのがこの髑髏。
漢字が難しすぎるが、どくろ。
髑髏というより骸骨か。

関東ロームに髑髏に蝋…
まさに「かんとうどくろうむそう」。

内側にはモクズガニ灰でスリップウェア感を。

かなりの濃口で癖強で、派手だけど、やっぱりどこかに「じいさま感」がある…

見どころがいっぱいあって、いつまでも見ていられる。
川泥の成分を読み解けば、そこにはおそらく人間をはじめとする様々な生物の営みの痕跡・記憶・残骸が含まれており、それは果てしなく古い時代から蓄積されたもの。この土地の地層もしかり。つまり、この那珂川という流域時間の記憶がこの茶盌に内包されている。さらにはモクズガニという現在ここに営むものたちの命はもとより、その命のバトンを繋いできた遠いモクズガニのご先祖様たちの気配までもがこの盌に宿っているように感じずにはいられない。
この盌をもって那珂川で川野点したら、いったいどんな景色が広がるのだろうか。どんなことが起こるのだろうか。
なんだか少しどことなく怖さも感じるが、何かが起きそうな気がして、たのしみで仕方がない。

120点満点の盌、想像をはるかに越えていた。

那珂川汐草藻屑蟹盌

流域展開なかがわしおぐさもくずがにわん

幅12.2㎝/高さ10㎝

どくろうむは地層ベースだったが、こちらは川泥ベース。
モクズガニ灰+川泥をブレンドしたものさらに重ねがけし、その上からモクズガニ灰、カワシオグサ灰を単独掛けした。

モクズガニ灰の掛け痕は白っぽく発色し、そこに茶色の濃い流れが発生。
これは再現したいが再現できるのか?
川泥に含まれる鉄玉とモクズガニ灰との反応か?

カワシオグサ灰を掛けた方(右)。
モクズガニ灰がカセったのか白くアシンメトリーに色抜けしてざらつきがでた。
そこへ天井からガラスが垂れたのか、青白い流れが生じている。
ごっちゃん窯変。

縁にでたサラマンダー感がたまらない。

ちょっとした掛け違いで、どくろうむとは全く異なる雰囲気がでた。
そこがおもしろい。

早速焼きあがった盌で一服される泥蜂融越先生。
またの名は「川藻久」。
せんのもきゅう…

・・・

ほかにも、湯呑や…

ぐい吞みも完成した。

中でもこの黄金細胞盌
ごーるでんせるわん

そうまさに龍玉Zのあのセルだ。

天板からた垂れたガラス玉がモクズガニ灰のカセった部分を真っ二つに切り裂いた。

カワシオグサ灰の雰囲気もあるように感じる。

幅6.2㎝/高さ4.8㎝
茶盌に比べればたいそう小さなぐい吞みだが、これだけの見どころが生まれるなんて…。

ごっちゃん窯での窯炊き。
木彫りでは感じたことのない興奮を味わうことができた。
これが陶芸の醍醐味なのだろうか…

木でそうなように、身近な材料を使いそれぞれの素材の由来やこれまでの記憶・時間に想像を膨らませながら土をいじる。
それがごっちゃん窯という時空変換装置で焼成されて一盌となる。
それは様々な命の時間軸が融合されたものであり、その一盌にいったい何が見えるのか、何が感じられるのか、何が現れるのか、その好奇心が僕にとっては極めて魅力なのかもしれない。

この興奮が覚めないうちに、さっそく次回の作品の準備に取り掛かることに。

流域土2種(38.9%)+益子土(55.6%)+砂(5.5%)の土を用いて、いずれも抹茶盌を想定したサイズ。
川泥鉄玉を一部に集中して埋め込んだ。
ここへ各種度灰を掛けて反応を見たい狙い。

切出し刀で心ゆくままに削り取ったり、畑で見つけた陶片で擦り回したり、削り皮を張り付けてみたり…
即興的に成形した。どこかクッパクラウンみたいな形のものもできた。
5つ作ってはみたが、いくつ素焼きを越えられるか…

茶盌一つを成形するにあたり産出される高台底の土を用いて、一盌一体の泥人を成形。
それぞれに宿る神様とした。

秋の陶器市の準備も心熱いうちに進めることに。
土熊たちも春とは違ったものを用意したい意気込みです。

木彫りも、そして土も、やはりすきだ。
いろんなものに手をつけて、やり散らかして、そんな自分のやり方に、少し迷いというか不安というか…
どれもが中途半端になってやしないか…

そんな想いを抱いていた中、ごっちゃん窯でたくさんの興奮をいただいたり、陶器市での偶然の出会いから「やり散らかし」という自分の状態を負から正へ転換できたり…

もうひとえに、みなさまに感謝しかない。

ありがとうございます。

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