FISHES

僕らの…それは誰かの

秋のことになりますが、茨城の鮎の産卵場を覗きにいってみました。
遅い時期でしたので、鮎の姿は少なく、ただ産卵したような川底の様子は観察できました。

2週間程度で孵化するとなると、順調に海にいくには水が出た方が良い感じ。

もう大きくなっているのかな~。
バンブローチ鮎仔魚を作りながら海で生活中の鮎を想う。

こちらはサケの掘り返しと思われるあと。
だいぶ前です。

ここのところ不漁でもちなおすといった様子も見られない…
来年こそは来年こそは。そんな期待とは裏腹に帰ってはこない。
ある一定の量を越えてしまうと、回復はしない。閾値を超えてしまったのか…
アニー効果とかいうんじゃなったでしょうか。

ここ那珂川での人工孵化事業の歴史は長いようで1876年(明治9年)がはじまり。
1970~2020の来遊数をみてみると3000尾~51000尾。
ここ数年は1970年代の水準のようです。

放流はというと、100万尾~600万尾の範囲、ここ数年は百万尾以下と思われます。
なんだか放流する数が減ると帰ってくる数が減る、放流する数が増えると帰ってくる数も増える…たしかにそんなようなデータにも見えるんです。

一方で、放流数の範囲は年によって6倍程度の差しかないかわりに来遊数は17倍もの差があります。
これは単純に考えれば放流個体による資源補強というよりは、むしろ自然産卵が資源増減に大きく寄与しているとも捉えることができるのではないでしょうか。

放流個体より自然産卵個体のほうが生き残りに長けている。
さまざなまなデータが集まり、これはもう当然のこととして認識されはじめている昨今。

そうは言っても、この期に及んで自然回復はあるのだろうか。
小渓流のイワナヤマメの域ではこのような状況にすでに陥っているわけです。

いずれこれは鮎でもあり得ることなのでしょう。
年による増減はあるにしても明らかに過去に比べて右肩さがりな鮎資源。
天然資源が自力で回復できるだけの資源量をヒトが確保すること。確保というよりは触らないこと。
鮎で言えばそこはやはり漁期の短縮であり、産卵期の鮎の漁獲制限なのではないでしょうか。

他者の領域

RIVER-WALKの若林さんが書かれた「川っぷち生きもの観察記」。
昨年秋のサクラマス産卵場調査にご一緒した時に出版を聞いていた本。

サクラマスの産卵場を探しに2021

本をまったくといっていいほど読まない僕ですが、各所ドッグイヤーというものをしました。
それは魚や鳥、動物他たちの生態に関する知見についてではなく、若林さん本人の川時間、回遊を通して感じた気持ちとか想いとか。

そして「他者の領域」という言葉。

「自分たちの領域」として川を見ることに慣れた目に、彼らの姿は映らなかったのだ。

というところ。

僕自身を振り返ったとき、かつてとは川やそこに棲む魚たち鳥たちへの考え方というか印象が少しずつ変わってきていたこともあり、この文に共感を抱いたのでした。

那珂川についてみている部分は極極僅かであり、経験も浅く、なかなか姿をみせない環境規模の奥深さからも知らないことばかりで…それでも前とは違う心意気というのか、生きものたちへの想いが生まれています。

これからの鮎たちを想うのにあたり、この「他者の領域」にヒトがいるんだということを外してはいけないなと改めて思ったのでした。

MIMIZU

話はかわりますがミミズ。

ローマ字にすると結構かっこいいミミズ。
釣りを覚えたころからの付き合いになりますので、かれこれうん十年。

それはそれは掘りまくりました。
今でもシーズンは時間をつくってミミズをとっています。
若林さんの「川っぷち生きもの観察記」にも登場するミミズ。
しかしそれは川ミミズというミミズで、僕がいつもほじくっている陸のミミズとはもしかしたら違うのかもしれない。
そんなことで、若林さんにお話を聞いてから、少し種類というものを意識するようになりました。
今のところの印象ではいつも出会うミミズの中には4種類くらいいるかな?といったところ。

気になれば写真をとってHDDに眠らせてしまっていますが…。
ここ最近、真冬に見つけたミミズをいくつか。

真冬の東京、水の中で動いていたミミズ。5cmほど。

冬の雨のあと、U字溝に固まっていたドバミミズ。
寒くなってくるとドバミミズは急に見られなくなって、雨のあととかに1個体とかが急に死にそうな雰囲気で出現する。それは紫がかっていて、写真のように先っぽが丸い。
やはりこのタイミングに死ぬんだな、そう思ってました。

がしかし、年明けに作業場を整理していると、大量のゲジゲジに交じって冬眠中の上記のドバミミズを発見!!

やはり先っぽは丸く、11月頃にいた最後のドバミミズの雰囲気にそっくり。

あ~、冬こすんだ。
はじめて知ったのでした。
大谷石の下、わずかなじめついた土の中でじっとしていたようです。
土はもうミミズの形になっていました。
こんなドバミミズを数匹確認。

これは種なのか?
梅雨時期のドバミミズは春以降に一気に成長してドバ化し、秋にはいなくなる。
そんな勝手な生態を信じていたので、これは別種と勝手に位置付けています。

陸ミミズではなく川ミミズですが、まだよくわかりません。
でも、川岸近くの掘ると水がでてくるような場所には確かにミミズがいて、黒っぽかったり、緑色だったり、普通の赤っぽいミミズもいますが、小さいというのが印象。

今年は少し、水辺にも目を向けてみようかなとおもったりしています。

作業場の整理中にはトカゲもいて、申し訳ないことをしてしまいました。
トカゲはどうやら長生きの様ですね。

他にはムカデもいましたが、わずか数匹。ミミズやトカゲのほうが圧倒的に多かったです。

ネズミが運んだ梅の種もたくさんありました。

そして、泥蜂先生の作品も多数。
ブロック6つほどにずっしりと練られていました。

かつてご先祖様が開拓したこの場所にはじいさんたちの生きてたころの記憶と雰囲気が残っていて、そして今は僕の、僕らの場所。そして誰かの…そう、身近な生きものたちの生活の場所でした。

当たり前なんでしょうが、実際に触ってみないとわからない当たり前。
この時まで気づきもしませんでした。

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