FISHES

夏至る、桶を片手に沢へ

生ぬるい湿り気をおびた空気、そして日差し。

昼間の作業から夜勤へ入る。
生きものたちのリズムにあわせて活動しなければ成り立たないのだから、仕方ない。
というより、この上なく幸せなことなのだけれども。
だけど、さすがに体がもたない…。

暑すぎる…。

そのタイミングなのかどうかはわからないけれど、今年も涼を求めてマダラもここへやってきた。

だからぼくらも沢へ。

とある目的を果たすため…

むっちゃんを追う。

狙って釣るというのはなかなか難しい。

でも結果的に最高のむっちゃんに出逢う。

しばし、各部位記録し…

見惚れて。

この羽衣。
カワムツ、ヌマムツ、オイカワでちゃんと比較できるといいなと。

で、沢へ再出発。

陽が木々の隙間からさす。
それだけで涼しい。

沢風にのり、上流へと向かう羽虫たち。
この細い沢の清々しい空間にも小さないきものたちの営みが。

桶と竹竿をもって鯊釣りへ。

年期の入った箱眼鏡でのぞく。

ご先祖さまが残してくれたものと、身近な素材で簡素に仕上げた竿と。
どれもこれもこの沢にあう。

オオヨシノボリ。

ここのオオヨシノボリは海から帰ってきている。
本格的に調べたから知っている。

ほんの数センチのこの鯊が川から海へ、海から川へ、そしてここへ、と帰ってくるのだから。

そして幼モクズガニもそう。
海から歩いてくるんだから…。

サワガニはずっとここにいて世代を継いでいる。
変わりながら、ここに変わらずにいる。

左♂、右♀

なんてかわいいんだ。

なんてきれいなんだ。
なんて気持ちがいいのだろう。

いよいよ夏だ。

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