フライフィッシングの聖地…
奥日光…湯川…。
そして中禅寺湖には美しいトラウトたちが棲む…。
170mを超える水深…
水中を覗くと果てしなく真っ黒で吸い込まれそうな世界にゾッとする。
かつて月刊つり人の釣りにまつわる怖い話だったかで、中禅寺湖の巨大サンショウウオのことが載っていたような記憶が…。
おそらくは…レイクトラウトなのではないだろうか…。
その深々しい高所の山上湖には、いったいどんなトラウトたちが棲んでいるのだろう。
人間には手出しできないような深く険しい岩湖底に潜む…トラウト。
果たして如何なる形態、色彩、斑紋を有するのだろう…。
立地、環境、歴史…膨らむ妄想。
それらがより一層、中禅寺湖のトラウトたちを神秘的な存在にさせているのかもしれない。
そんなことを考えつつ、しばし那珂川水系を離れて中禅寺湖へ…。
山上湖の四天王
…行ってはいませんが
レイクトラウトのBambrooch(バンブローチ:竹ブローチ)
を作ってみました。シルエットで種を表現するのは結構難しいものですね。
まだ、シルエットを出して表面のみ少し研磨したのみです。
レイクトラウト(Salvelinus namaycush)~Leanの神~
レイクトラウトはかつて35の標準名、15の学名が与えられていた形態的変異に富んだトラウトのようです。
スペリオル湖には下記の4タイプのレイクトラウトがいるそうで…
●Lean(50m以浅に棲む体脂肪の少ないスレンダーなメジャータイプ)
●Humper(90m以深の深湖の50㎝以下の小型タイプ:急傾斜の岩礁帯に生息)
●Redfin(大きな頭部、長い腹胸鰭、赤い鰭?を持つタイプ)
●Siscowet(80m以深に棲む体脂肪高めなぽっちゃり鼻丸タイプ)
過去の「さけます情報」に掲載されています(下記)。
サケ科魚類のプロファイル-17 レイクトラウト(山本祥一郎:さけます情報2019,No 13)
ん~中禅寺湖には全部いそう。
〇近年爆発的に釣れている小型のレイクトラウト…おかっぱりからたくさん釣れているのはまさに…Lean…。
〇なんか赤っぽい鰭の大型で湖南側の急深する急傾斜岩礁帯についている比較的レアな…Redfin。
〇Redfinに近いけど白銀系でっぽりボディ丸顔の中禅寺湖最大タイプ…船からジギングなんかでも釣れている?…Siscowet。
最後のHumperはどうだろう。
Humperは中禅寺湖の半端ね~深いところ…
おそらくは、湖の中にある70m級の湖山と湖山(湖底から測定して)の頂の間、あるいはその谷間の水深100mラインあたりに生息しており、人の手が届いていないがために…まだあまり知られていない…。
今回作ったバンブローチはレイクトラウトLeanの神。
孟宗竹、真竹の種類を変えたり、表面の模様を活かしたり、削り具合を変えたり、そもそものフォルムを変えることで、中禅寺湖のレイク四天王のバンブローチを作りたい。
トラウトを種ごとにシルエットで表現するのも難しいのに、タイプまで果たして表現できるのか…。
しかしまぁ~「さけます情報」にもありましたが、中禅寺湖にもいるであろうLeanとSiscowetでは同じ環境下で飼育しても形態的特徴や体脂肪率に違いがみられることから遺伝的にも異なるんじゃなかろうかというようなことも…。
そうすると中禅寺湖に生息するであろうレイクトラウト四天王はみな違う場所で産卵しているのでしょうか?
あるいは産卵場は同じでも産卵時期に若干の違いがあるとか?
ぜひとも中禅寺湖のレイクトラウトの遺伝的な調査が実施されることに期待したいですね。
中禅寺湖に生息するレイクトラウトは東側の遊漁区域で約7000尾と推定されていますが、そのうち四天王のどれがどれだけいるのかを知りたい。
それぞれの形態的な特徴を整理して、それぞれの生息数や産卵場、定位場所などの生態的な知見もバイオロギングなどを合わせて明らかにされるといいですね。
きっとそれぞれの生態は違うのでしょう。
ん~。
浅場のLeanと深場のSiscowetやHumperは接触を避けるように暮らしていて、餌も違うのでしょう。浅場のLeanはワカサギやハゼ類なのどの小型魚類を中心の魚食性のため成長は早いがあまり長生きしない…なので繁殖の回転は速く数は多い。
一方、Siscowetは待ち伏せ型の魚食性で蓄えた脂肪をじっくりと深場の冷水の中で代謝しながら月数回の大型魚の捕食によって生きている…そのため頭でっかちで成長はじっくりで長生き…少数。
Humperは深場のタイプだがSiscowetとは食性が異なり、主に浮遊性の甲殻類や仔魚、プランクトンなどを食しているため大きくはなれない…。常に光の届かない深場にいるために眼は大きい…視覚的に餌を探しているのだろう…数は比較的多い。
Redfinは謎だが、LeanとSiscowetの中間的な存在…甲殻類からユスリカ、陸生生物、貝類まで食べる貪欲で鉛直方向にも大きく移動できる柔軟なタイプ。
いるでしょうね。
天王別に資源管理ができる日がくるかもしれません。
あ~
1966年に放流されて今なお生き延びている54歳のSiscowetな巨大レイクトラウトを釣りたい…。
あ~
中禅寺湖のブラウントラウトも確か2タイプいるんですよね。
これもまたバンブロしなきゃ…いけませんね。
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