那珂川の鮎事情。
ことしは色々なことがありました。
そして「友釣り」はほぼ成立せず。
6月の解禁からほぼ3カ月。
実質の解禁は9月に入ってから。
渇水、青ノロ、病気と様々なマイナス要因があったように僕は感じていたものの、それでも例年通りに塊を形成して下流へと移動を始める大きな鮎たちの姿があったのは、驚きでした。
「そこは変わらないのか…やはり天体的な大きな何かが鮎たちを動かしている…」
そう今年も強く感じた8月中旬。
9月の頭には精卵巣の発達が確認されて、竿じまいもそろそろなんだなと寂しさを感じた頃、異例解禁となった2023。
本来の盛夏はとっくに過ぎ、産卵意識を高め下流へと向かう鮎が出始めてからの解禁。
大きな出水ではないものの水温の変化と青ノロに大きな変化を与えた増水で追い星豊かに動き出した那珂川の鮎たち。
ここいらは7月に入ってからが友釣りシーズン、といわれたりもしますが、過去のデータをみればそんなことでもないことは感じているところ。
明らかに石は小砂利化しているし、圧しも増々で下流化が進行しているのは実感しているのだから漁期が秋に変化しているのはなんとなく納得してしまう…。
産卵期の漁獲自粛を思い、例年9月いっぱいで竿をしまっていたところではありますが、今年はとりわけ事情が異なりました。
わずか1カ月ほどの友釣り期間。
サイズ、数ともに今の那珂川で十分な鮎が顔を出してくれたのはその中でも2週弱。
9月だというのに、それはまるで盛夏のように鋭くて乱暴なアタリ。
まさに落雷の衝撃。
正直、これまであじわったアタリのどれよりも強烈だったのだから驚きました。
流れの圧しの強さが小砂利化の影響だったとしてそれはそれで残念なことではあるものの、釣るという意味ではとても面白く、心と体と脳みそに突き刺さる衝撃はとてつもないのだから、どうも具合がわるく…。
結果的に友釣りへの依存度をより高めるシーズンになってしまいました。
やはり友釣りは面白い。
短い期間の中、釣れた鮎の姿、コンディション、婚姻色への移行具合を日々感じることができたのはとてもよかった…。
とてもいい経験だったと思っています。
一日の気温の寒暖差が大きくなるのと同時に鮎の熟度もどんどん増し、変わっていく姿が手に取るようにわかる…。
それがとてもうれしかったのです。
9月いっぱいで自主禁漁。
そんな僕都合の暦で切っていた漁期も、今年は今年の鮎の状況を鑑みて決めることもできました。
大きな鮎たちが過ぎゆけば、次は小さな鮎たちが秋に染まり始める…。
釣りを通して感じた鮎の生涯最後の変化に気づき、竿を置く。
鮎との関りの中、感じ、知り、行動につなげる。
極当たり前ではありますが、大切にしたい鮎との関わり方だなと、実感したシーズンとなりました。
そして遡上が多かった今年、小さな遡上鮎のようなサイズの鮎がまだ川にいます。
この子達がいったいどんな一生を送っていたのかも大変気になるところ。
そんな疑問にも少しずつアプローチできるよう、何か始めてみようかな、なんて思ったり…。
何になるかなんかはおいておいて、知りたいへの一歩を踏みだしたいなと、もそもそと感じたのです。
そして気になるのが今年の産卵。
川に立っているとザクザクでなかなかよい河床な感じ。
期待はあるものの懸念も多く…。
茨城側那珂川で3~5月の毛針釣り禁止が来年より解禁となる模様。
ニジマス釣り、茨城県で70年ぶり解禁…「産業管理外来種」指定で保護の必要性薄れる : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
鮎やサケ稚魚の漁獲を防ぐ目的で設けられた規制だったようですが、解禁となるようです。
「漁協が使用を禁じた期間、区域を除く」とありますから、まだ詳細は不明ではありますが、不安な改正。
栃木側ではこの期間例年鮎が漁獲されてしまっていますので、流し毛針などの使用でかかる遡上鮎をどう守るのか。
とても重要な課題だと思います。
大変古い規制で、茨城だけとはありますが、むしろ大切な規制で栃木側もならうべき先進的なものだったのではと感じていたところですので非常に残念。ただ、解禁しているヤマメやイワナを対象としている毛針釣りにも規制がかかっていた現状には疑問でしたので、そこが解禁される点は良かったものと思ってはいます。
数百万年前から命をつないできた鮎たちが、ここわずか数十年の間にぐんと数を減らしている現状。
放流による資源添加には限界があるのだから、天然資源を守りその力を十分に発揮できるような規制や取り組みが必至。
悲しい川の光景とならないことを願うばかりです。
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