FISHES

三種のじる、骨の髄まで

那珂川の増水で川は一気に秋ムード。
産卵シーズン突入です。
ここからは次世代の鮎資源のために、そっと見守る季節。

そんな話をしたいとおもっていたところですが、それはまたの機会にして今回は…
鰻のおはなしです。

トップの写真にあるのが三種のじる。
ご存じの通り、じるとは汁のこと。

炭火で鰻を焼いていますと、それはもううまみ成分が水分や脂とともに流れ出てゆきます。
ご存じですよね。

炭火焼きというのは格別なおいしさに仕上がるメリットはあるものの、残念ながらそれらの…いわばうまい「じる」を流してしまうということ。煙になってしまうわけです。
厳密にいえば、炭に落ちた脂や水分などが熱されてはじけることで煙の燻効果や何らかの成分の塗膜効果が得られるとも考えられますが、そうは言ってももったいないなとも思うわけです。

炭火焼を推奨しつつも、魚焼きグリル(フィッシュロースター)でも十分おいしく焼くことはできます。
その場合は、なんと両面焼きならば焼いた時の脂や水分などを下に確保することが…可能。

なんということでしょう。

そんな炭火焼なら失ってしまうであろう「じる」を今回救出し、いただくことにしました。
それがサムネ画像の「じる」でございます。

実は、今回鰻のみならずモクズガニでも同様のじるの救出、いや、利用をはかりました。

モクズガニは蒸して味わうのが僕はもっとも味わい深い方法と考えています。

RIVER-WALK若林さん撮影

蒸すと下には蟹のじるがでます。本体ではないので薄めなじるではありますが、黄金彩でモクズガニの香りや味は十分なもの。これを無駄にするのはもったいない。

といったことでまずは、鰻のじる。

鰻の脂がういています。

塩のみで味付けすると、上品でコクのある鰻じる。
今までこんなきれいな鰻の味わいのじるを捨ててしまっていたなんて…。

後悔でいっぱいです。

こちらはモクズガニのじる。

透明感が伝わりませんが黄金モクズじるです。しっかりとした川蟹の味です。

そしてこちらは鰻じるとモクズじるをブレンドしたじる。

鰻の脂がだいぶ多く入ってますが、臭みなど一切なく、濃厚な鰻だし。
その鰻じるを味わっていると、さわやかにモクズガニの風が吹いているようなじる…じる…。

がしかし、何と言ってもやはり、鰻がすごかった!というのが率直な感想。
とにかくクリーミーなんですよ鰻じる。

本体ではないのですよ!?
焼いているときに出た「じる」なのですよ!?

それでもこれだけのクリーミーって…
衝撃でした。

で、結果的に素焼きした鰻を入れ込んで…

鰻じるで少々ふやかして…じるをすわして…
固めに炊いた白飯もイン。

上からハイ。

近くでドン。

かきこみました。

本当に鰻のじると塩、白焼き鰻、白米…これだけです。

「鰻茶漬け」ならぬ…なんだ?…
「鰻じる漬け」…でしょうか。

すごい味わい方を発見してしまったと僕は思いました。
いただいた命、無駄にはしない。

そしていつだっておいしく食べる方法を考える。
これをするには川魚食というのものを自分たちの食卓に十分に根付かせる必要があり、僕が常にワクワクしながら魚をとり、ワクワクと料理する。

これが重要なのでしょう。

今はどちらかというと、おとうさん(僕)が一人でニヤニヤ盛り上がって興奮しているだけ、な雰囲気ですので…少しずつ変えていかねば。

その中で魚の捕り方やルール、食べ方、そういったものも家族で共有していきたいと思っています。

ちびっ子が釣ったカワムツ、ニゴイ、コクチバス。
自分で焼いてわざわざ作業場まで持ってきてくれました。
おいしかった。

コクチバスが一番おいしい、なんてこともちびっこは言っていましたし、外国からきた魚であることは本人たちも知ってはいますが、そういった魚環境の問題にも頭ごなしに「悪」を単純に押し込むのでは決してなく、少しずつ食を通じて触れる機会を作って本人なりに考えるきっかけにできたらいいななんて思ったりもしました。

これからも色々な角度から川魚にアクセスしたいと思います。

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